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石渡りアトルと今週の 『天保異聞 妖奇士』(#19~20)
2007/02/25(日) 02:25 
 「妖夷」が人間の持つ黒い部分が形となったものなら、「異界」とはそこから逃げ出したい心が生み出した仮想の世界。

 少年時代の往壓は、自分自身の存在に空虚なものを感じて、元服と時を同じくして逃げ出します。そしてその前にも一度“異界に”逃げたことがありました。そんなことがあった後の25年は、ご存じのように逃げ続けた人生をおくった往壓。

 これまでのエピソードでも、妖夷を生み出してきたキャラクターたちはそれぞれ心に闇を持っていました。アトルもそうですし、宰蔵もそう。「妖奇士」はそれを解決していく作品なんですね。奥が深くて非常に面白いです。

天保異聞 妖奇士/アトル(石渡りver.)
【クリックすると大きな絵が開きます】


 今回のエピソードでは、三人の“往壓”が登場します。いずれも、自分の今いる場所から“逃げたい”、あるいはすでに逃げている者ばかり。そして往壓(オリジナル)は、自分が逃げ続けていたものと相対することになります。

 竜導家にとっては家督の象徴であり、“武士”そのものを表わすあの脇差は、彼にとって捨てたいモノでした。その心が反映されて、妖夷と化してしまった脇差。二番目の往壓(養子)がおとなしく家にいる間はなんの異変もなかったのですが、彼が自分の存在にふと疑問を感じて家出してしまった時に、事件は起こりました。

 脇差しは往壓(養子)に捨てられる形で、往壓の名前とともに3人目の往壓(歳三)の手に渡ります。彼は武士になりたいという夢を持っていた少年(のちの土方歳三)ですが、やっぱり田舎・多摩出の百姓であり、“現在の自分を捨てたい”者のひとりだったわけです。

 かくして、三様の往壓の引き起こした騒動は、往壓(オリジナル)と往壓(養子)の選択によって決着します。

 母と暮らした15年。出奔して後の、25年というそれ以上の長さを生きた往壓は、その自分を捨てられないといいます。家を捨て、親友を殺し、逃げ続けて浮民にまで落ちた往壓が、あの時に浮民の証を消さなかったように、今度もまた現在の自分をこそ自分であると肯定したことになります。

 引っかかっていた家のことも片が付き、母ともきちんと別れられた。それでも……。年老いた母の願いを聞いてやれない男を、どう思う? と少女たちに質問します。「サイテー!!」と答える娘たち。

 客観的な目(アトル&宰蔵)で見なくても、自分で自分のことが解っている大人ということなんですね。若いとなかなかああは“解らない”ものです。

 思えば、逃亡していた25年という歳月は、現界(うつしよ)であっても往壓にとっては“異界”だったかもしれません。奇士になって、ようやく彼は逃げなくて済む、自分の居場所を見つけつつあるのかもしれません。アトルは往壓に「ここにいろ!」と言われてかろうじて今の自分をとどめていますが、往壓は長い間かかって自分自身でそれを獲得しようとしている……というお話なのかも。

 それよりもやはりスゴいのは、そんな男子の迷いやワガママを受け止める、母の偉大さ、というところでしょうか(これも、若いうちには気づきにくいものですが)。

 きっと、往壓(養子)も、あの人にとっては同じように大切な息子なのでしょうね。最後に戻ってきた彼を迎える時の表情がやっぱり素晴らしいのです。う~ん、いいお話でございました。


 こんなに面白いのに、「妖奇士」は打ち切りだという…… (´Д`;)


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TBありがとうございます(^^)。TBいただいた記事はぜんぶ読ませていただいてます~。
TBはほぼ100%お返ししてますが、たまにはじかれることがあるようです。
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説二十 不忍池子守唄二十五年ぶりに母親と再会を果たす往壓。「凄いものだな、母親というのは」「はぁ、お若く見えますね」「考えてもみよ、竜導が出奔して育ち盛りからこの歳まで二十五年、会っていないのだぞ。なのに一目で…」「あぁ…」そこに分家の男性が親類を代表..
2007/02/25(日) 07:09:05
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