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不足など寸毫もない /『修羅の刻』14巻
2006/04/25(火) 10:05 
 ■ 修羅の刻 第14巻の感想
 舞台装置というか物語構造というか、うなるほどの巧妙さ。語り口も円熟の域に達したなぁ、という印象でした。文句なく面白かったです。

 張り手で人を殺してしまった相撲取り、後の“雷電”は、殺した相手の息子に「強いヤツと戦って、殺されろ」と言われます。そのことを、ずっと引きずっている優しい男。しかし、「優しい男がつい間違って張り手で人を殺すなど、あるものじゃない」と本人も言うように、彼にも強い男と闘いたいという鬼の血が流れていたのです。

 「殺されろ」の言葉と、「闘いたい」という意識。この両方を持ち続けた男が出逢ったのは、無敗を誇る陸奥圓明流の伝承者。彼の望みをかなえることができるのは、陸奥だけ。

 しかしその最初の対決は、真の意味では実現しませんでした。
 相撲界では必殺の張り手を師匠から封じるよう言い渡されていたにもかかわらず、最強の名をほしいままにしていた伝説の力士でしたが、それでは陸奥には勝てなかったわけです。
 優しいがゆえに「足らぬものがある」と看破された雷電。

 10年の後にめぐってきた再戦の機会ですが、陸奥はすでにこの世の人ではなく、その娘である葉月は、女性であるゆえに雷電と対するには力が不足していたのでした。

 己の弱さに泣く葉月と、望みが叶えられないと知って涙する雷電。
 ここからが、このエピソードの真骨頂です。

 「二十年、待て」

 そう言い残して去っていった葉月。
 約束の日を待ち続け、ついに現われた彼女はひとりの若者を連れていました。息子です。雷電との闘いを実現するために、彼女が全身全霊をこめて仕込んだ、陸奥。

 ふたりの「足りなさ」のゆえに、なんと30年もの刻をかけてようやく実現した最強の男たちの闘い。

 この時に葉月が言うセリフがすさまじく燃える!

 「この世で最強を名乗るのに、不足など寸毫もない」

 そのゆるぎない自信。
 雷電の望みに、彼女は全力でもって応えようとしていたのです。


 読者の中には、葉月の息子・兵衛の父親は雷電その人ではないか、と推測する人もいるようですが (あとがきより)、ボクはむしろ、あの最初に父親を殺された少年がそうなのではないか、と思っています。

 父親を殺された恨みから、強い奴に殺されろ、と言い放った少年。そのことをずっと引きずっていた優しい雷電の、あるいは「死にたい」という望みを果たすのに、これ以上はないくらいに適役だと思うのですが。
 強くなかった少年。それは葉月もそう。ふたりの間にできた息子が、この世で最強の修羅となって、三者の“望み”を果たす。

 これが最初に言った、舞台装置の妙、だと思うわけです。

 だからこそ、雷電は最期に笑って逝けたのではないか。

 恋女房、と言われた奥さんも、きっと雷電の心の奥底にあるもののことを察していたんでしょうね。もう還ってこないであろう夫を「よろしく」と見送る姿は感動もんです (´д⊂ヽ


 前巻の西郷四郎編では、闘いの描写そのものが円熟期に入ったなぁ、というくらいケレン味たっぷりで、西郷が御式内(おしきうち)の技を見せるあたりは震えがくるほど燃えたのですが、今回はこの、物語的な仕掛けの巧みさにうならされました。「修羅の刻」シリーズ中でも、この2エピソード(十四巻~十五巻)は最高傑作といいたい。


 ……と、これだけ絶賛しておいて、描いたイラストはネタ的なものですが(^_^;。

修羅の刻/陸奥葉月
【クリックすると大きな絵が開きます】

 葉月たん、といったらネコミミモ~ド(笑)。


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TBありがとうございます(^^)。TBいただいた記事はぜんぶ読ませていただいてます~。
TBはほぼ100%お返ししてますが、たまにはじかれることがあるようです。
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コメント
この記事へのコメント
修羅では女性は強いけれど、肉体的には弱い存在として書かれ続けているんですよね・・・葉月しかり、寛永御前試合の円しかり。
肉体的な世界最強の座に近い人間達ですから、女性が届かないのはリアルともいえるのですが。
もうちょっと武闘派も出てきて欲しかったりします。

物語では4巻の雷編が好き。
2006/04/25(火) 12:35:16 | URL | tlunar #oEKVtF.6[ 編集]
雷電は特に巨体でしたから、不利も大きかったんでしょうね。

当代の最強の存在が雷電であったときに圓明流を継承したのが女性の葉月であったことは大きな皮肉ですけど、それだけに一段上の面白さが出たと思います。

葉月が出るまでは、圓が最萌えだったんですけど(^_^;。川原センセの描く女性は今でいうツンデレ要素を備えた子が多いので、基本的に大好きです。
2006/04/25(火) 22:38:03 | URL | まいら #-[ 編集]
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